【感想】『マルタ・サギーは探偵ですか?』と会いました。
皆様、お久しぶりです。キムです。
『マルタ・サギーは探偵ですか?』と『マルタ・サギーは探偵ですか? a collection of s.1』を読んだので、感想を書こうと思います。
《あらすじ》
彼の名前はマルタ・サギー。本当は少し違うけれど、オスタスに来てからはそう呼ばれている。職業は『名探偵』。けれど推理はしないし、できない。マルタにあるのは“事件を強制的に終結”させる力だけ。彼がその力を行使すると“世界の法則さえ捻じ曲げて事態が解決”してしまうのだ。「だってどんな世界でも働かなきゃ、生きていけないし。僕にできるのは『名探偵』だけだし」完璧な探偵であり、同時にまったく探偵でないマルタ・サギーは、如何にして『名探偵』になったのか? 彼の“秘匿されている”過去が、そして宿命の好敵手、怪盗ドクトル・バーチとの出会いの顛末が、今初めて明らかになる! マルタは、へらりと笑う。「不安なのは、どこでだって一緒だ。だから新しい世界で、僕はどんな僕になろうか考えたのさ」
『名探偵』のカードで事件を解決……?
ひょんなことから『名探偵』のカードを手に入れた主人公のマルタ・サギーが名探偵として、様々な種族の生き物が暮らす土地オスタスで事件を解決するというお話です。
『名探偵』のカードは使用するとあっさりと事件が解決されてます。そこに探偵ものによくあるような推理や調査などという工程はありません。ですが、この作品では事件を解決する(=マルタが『名探偵』のカードを使用する)までの微笑ましい日常的なやりとりと、解決した後に起こる出来事に読みごたえがあり、作品の魅力を感じました。
想像していた推理ものとはちょっと違っていましたが、探偵ものとしてとても面白かったです。まるで、数学の問題文を見て解答と解説を読ませてもらうような感覚でした。
ここが面白かった!
個人的にこの作品で一番面白いと感じたのは、キャラクター同士の関係性です。
探偵と怪盗という対立する立場にありながら、互いの存在を認めあうマルタ・サギーとドクトル・バーチ。
まるで生活力のないマルタを縁の下から支える助手のリッツと飼い犬のジョセフ犬。
互いにちょっとクセのある主を持って気苦労が絶えないリッツと、ドクトルの執事のジャック。
などなど。
キャラクター一人ひとりはもちろん、登場人物それぞれの関係性もとても大切に描かれているように感じました。
また、マルタの決まり文句である、
「僕の存在は、特別に秘匿されなくてはなりません」
「みなさんが公に発言して良いのは、マルタ・サギーは名探偵である、と言うことだけです」
というのも、個人的にとても好きになりました。
はじめ読んだときはちょっとキザったく感じたこの台詞ですが、物語を読み進めていくと「おっ、いつものやつ来たな!」といった感じにワクワクするようになりました。
ひょっとしたら、これがマルタ・サギーという人間の魅力なのかもしれませんね。
あとは、ドクトルの一人の人間としての強さを感じつつも、マルタを前にしたときの恋する少女のような、あるいはおもちゃを目の前にした子供のようなはしゃぎっぷりも好きです。振り回されるジャックは本当に大変そうだけど、そのやりとりすらも微笑ましい……!
最後に!
当初の予定では『マルタ・サギーは探偵ですか?』を読んだら感想を書こうと思っていたのですが、話の続きが気になり『マルタ・サギーは探偵ですか? a collection of s.1』まで読んでの感想となりました。
まだ読んでいない2巻以降では、名探偵と怪盗が対決をしながら最終巻の幸せそうな表紙絵のような展開に向かっていくのかなと想像すると、自然とニヤニヤとしてしまいます。どうか最後の最後まで思う存分にイチャイチャしていて欲しいです。
誰かにとって特別は作品というものは、それだけで私にとっても特別に感じられました。
ではでは、さよならー。